紀の川市粉河。
粉河駅から粉河寺にあがってゆく参道沿いに母屋である店舗ビルのはなれとして建てられた住宅です。
この住宅の土台は古い水路の上にかけられています。
両隣の古い建物も同条件で、昔から水路の上に建てられていたようです。
基礎の工事に工期がかかり、地鎮祭から1年後の竣工となりました。
はなれということで、床面積は大きくありません。
少しでも広がりを感じたいというご希望で、SICの扉やリビングの建具は鏡張りに。
まわりは店舗ビルや旧い建物に囲まれ、すぐ裏には学校の擁壁が立ち上がっています。
陽当たりも景観も決して良好とは言えませんでした。
学校や参道からの視線を考慮しつつ開口部を設け、階段室の大きな窓から取り入れた光は
建具上部の硝子を透過し、1階の玄関とリビングに届けられます。
西陽の光が強すぎないようあえて面積を抑えた吹抜けからも
リビングダイニングにやわらかい光が差し込むよう工夫してあります。
照明はルイスポールセンやFLOSといった海外のもの。
家具はCassinaで揃えられました。
ご夫婦のこだわりが感じられます。
決して大きくないこのはなれの開口部から、夜は道行く人に印象的な光が届けられます。
美しい食器、ワイン、オーディオから聞こえる音楽。
趣味の良いご夫婦の上質な大人の暮らしを叶えるべく設計された住宅です。
粉河のはなれ
構造/木造2階建 竣工/2024年
photo by 今西浩文